外傷全般とは
日常的に起きやすい体表に発生した傷（すり傷、切り傷 等）をはじめ、強い外力（転倒、転落、捻り、打ち身 等）が加わることで起きる、打撲、捻挫、骨折、脱臼、突き指など外傷全般に対する、診察、検査、治療も行っています。
傷口が小さかったとしても、切創（切り傷）であれば、神経や腱、あるいは骨といった部分にまで達していることもあります。血管などが損傷しているのであれば、速やかに縫合処置をする必要があります。また転倒するなどして、皮膚表面が削れるなどして損傷するすり傷は、神経が走っている部分でもあるのでヒリヒリと痛みます。それでも、何も処置しないというケースも少なくないです。この場合は切り傷にも言えますが、可能性として土に中に存在する破傷風菌が傷口から侵入し、感染症を引き起こすとけいれんや口が開けにくい、息がしにくいなどの症状がみられることもあります。
つまり、単に擦りむいた、手や足を切ったというだけでも怖い感染症を発症するリスクはあります。
打撲
一般的には打ち身と呼ばれることもあります。人や物に体をぶつけてしまう、転倒するなどして患部を地面等に強く打つなどして、皮下組織や筋肉に鈍的損傷がみられている状態です。主な症状は、患部に痛みや腫れ、内出血のほか、熱感が伴うこともあります。
治療をする場合は、まず患部を冷却します。痛みが強い場合は、湿布や消炎鎮痛剤の内服薬などを使用していきます。
切創
切り傷と呼ばれることが多いです。皮膚表面を刃物（カミソリ、包丁 等）やガラス片など鋭利なもので切られた状態（傷口）のことを言います。よくみられる症状は、傷口からの出血や痛みです。傷が深い位置まで達し、血管などを損傷して出血が多量になることもあります。
出血量が多ければ患部を圧迫するなどの止血の処置が必要です。また医師が判断すれば縫合処置を行うこともあります。
捻挫
関節（足首、膝、首、肩 等）を捻るなど強い外力が発生することで、靱帯、筋肉、関節包といった組織が損傷されている状態を捻挫と言います。捻挫が最も起きやすい部位は足首で、靱帯の断裂がひどいと判断されると靱帯損傷と診断されることもあります。主な症状は、損傷した部位の痛みや腫れです。足首であれば、くるぶしを押すなどすると痛みがあります。
治療に関してですが、まず骨折の有無を確認する必要があります。その結果、捻挫であれば患部をしばらく固定し、安静に過ごします。痛みが強ければ痛み止め（NSAIDs等）を使うこともあります。なお靱帯は動かさないと硬くなるので、柔軟にさせるためのリハビリテーションも必要です。
骨折
骨がポッキリ折れた状態だけでなく、ヒビが入っている、陥没しているなどの場合も含まれます。この場合、多くは強い外力が加わることが原因の外傷性骨折です。ただそれ以外のケースとして、スポーツでの体の酷使などによって引き起こされる疲労骨折、骨粗しょう症などの疾患が原因で起きる病的骨折もあります。
よくみられる症状は骨折部位の腫れや痛みです。状態がひどくなると、変形、骨折部位を動かすことが困難、あり得ない方向に動くということもあります。
治療の基本は、整復（骨折部位を元の位置へ戻す）してからの固定となります。治療が適切でないと、骨が変形、あるいは癒合しにくくなっていきます。固定方法については、ギプスや副木などの外固定法のほか、麻酔下で皮膚を切開し、ピンやワイヤー、スクリューなどで固定する内固定法もあります。
脱臼
関節とは骨と骨の間をつなぎ、動かしやすくする部位になります。このつなぎの部分にズレが生まれ、本来の位置に（骨が）ない状態が脱臼です。この場合、完全にずれてしまうこともあれば（完全脱臼）、完全に関節から外れきっていないケース（亜脱臼）もあります。
発生要因としては、人と激しく接触するスポーツ（ラグビー、柔道 等）や交通事故などによって関節に外から強い力が働くことで発生する外傷性脱臼であれば、速やかに整復する必要があります。主な症状は患部に強い痛みや腫れのほか、関節可動域の制限、筋力の低下などがみられるようになります。
治療に関してですが、外傷性脱臼では直ちに整復していきます。その後は関節を固定し、靱帯などが修復されるまで安静にします。ただあまり動かさないでいると関節が拘縮してしまうので、ある程度の期間が過ぎたらリハビリテーションとして関節を徐々に動かしていきます。
